その他技術

当社は、環境省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を初めとした数多くの委託研究開発事業を実施しています。環境省の地球温暖化対策技術開発等事業では、未利用温泉熱の活用を目指し、低沸点媒体としてアンモニア-水媒体を使用したカリーナサイクル発電の実証試験を新潟県松之山温泉にて実施しました。 また、地熱発電に係る課題であるスケール・腐食問題に対し、スケール付着量評価、腐食試験を実施する設備の開発、さらに、スケールの付着防止技術として熱水中のシリカ成分を除去し、コロイダルシリカとして回収することで配管・ケーシングへのスケール付着リスクを低減させる技術を実証しました。当社は、新たな技術開発を今後も進めるとともに、開発成果の普及に努めています。

その他技術

1.発電技術(カリーナサイクル発電)

カリーナサイクルは、アメリカのエクセルギー社のDr. Kalinaが海洋温度差発電に適したサイクルとして考案したもので、アンモニア-水の混合物を作動媒体とすることで、単一の沸点を持たないことから熱源の熱を最大限に利用して高出力を得ることができるサイクルです。このサイクルの主な特徴は1)中低温の状況で従来のランキンサイクルより高い効率が期待できる、2)アンモニアを媒体に利用するため地球温暖化係数がゼロである、が挙げられます。

当社は、環境省の地球温暖化対策技術開発等事業として、平成22年度から平成27年度にかけて温泉を熱源としたカリーナサイクル発電技術の実証試験を実施しました(受託者:地熱技術開発株式会社、共同研究者:国立大学法人弘前大学及び独立行政法人産業技術総合研究所)。本事業では、地熱発電の一つである温泉発電の普及に向けて、温泉や電力系統に影響を及ぼさない温泉発電システムの実用機を開発し、新潟県十日町市松之山温泉において実証試験を実施しました。

1.発電技術(カリーナサイクル発電)
1.発電技術(カリーナサイクル発電)

2.スケール・腐食試験

地熱では地下に賦存する地熱流体を利用することで発電を行っているが、その地熱流体は高温・高圧である地下にあるため、地熱流体中には様々な成分が高い濃度で溶解している。地熱流体が地表へ噴出し、温度・圧力が低下すると、これらの成分がスケールとして析出し、ケーシングや配管、発電設備へ影響を与えることになる。一般的には、生産井での炭酸カルシウムスケール、還元井でのシリカスケールが付着することが多く、その他、流体性状によっては硫化物スケールが付着することもある。地熱流体による腐食に関与する因子として、地熱流体の化学組成、温度、流速、圧力などがあるが、これらのうち、地熱流体の化学組成が腐食に最も大きな影響を与える。

当社では、シリカスケール対策として実施されるpH調整について、注入条件の評価やスケール防止効果を評価するための試験装置を利用した試験、ならびに各種金属試験片を利用可能な腐食試験装置を活用した腐食試験により最適な条件や材料をご提案します。

スケール付着試験

スケール付着試験

腐食試験

腐食試験

3.シリカ回収技術

シリカ回収技術は、平成28~30年度にかけて実施したNEDOの研究開発「事業地熱発電技術研究開発/地熱発電の導入拡大に資する革新的技術開発/還元熱水高度利用化技術開発(熱水中のスケール誘因物質の高機能材料化による還元井の延命・バイナリー発電の事業リスク低減)」により実証された技術です。

地熱の還元熱水には多くの場合、SiO2を主成分とするシリカが含まれており、これが還元配管や還元井のケーシングや還元層にスケールとして堆積することで還元能力の低下を招く一因となっています。本技術は、このシリカ成分(m-SiO2)を含む熱水を処理し、シリカを回収・除去することで、熱水中に含まれるシリカ濃度を低下させます。この処理を行った熱水を還元配管に戻すことで、還元配管ならびに還元井へのスケール付着を低減し、還元井の延命を行う技術です。

更に、回収したシリカはコロイダルシリカとして精製し、土壌改良剤や鋳型などの原材料となります。本技術は、シリカ回収技術の国際特許を有するニュージーランドのGeo40社と共同でサービスを実施しています。

3.シリカ回収技術
3.シリカ回収技術
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