PTS(圧力・温度・スピンナー)検層
PTS検層は物理検層の一種で、坑井内の圧力(P)、温度(T)、流量(スピンナー、S)を測定する検層手法です。取得したデータから、フラッシュ開始深度の確認や、流体流出入深度・割合の推定などを行うことができます。
当社のPTS検層器は、地熱井に代表される高温・高圧環境でも耐えうる設計となっており、噴気中の地熱生産井をはじめとして幅広く使用できます。また、ローラーセントラライザー等のオプションを装着することで高傾斜井への適用も可能となります。
項目 |
仕様 |
全長 |
2.5m |
外径 |
54.2mm |
重量 |
22kg |
耐圧 |
34.4MPa |
耐熱 |
350℃ |
データ記録方式 |
リアルタイム/メモリー |
坑内サンプラ検層
地熱井で生産流体の組成を調査する際、一般的には、坑口や二相配管より蒸気・熱水サンプルを採取し、これを生産流体の平均的な組成とみなして分析を行っています。これに対し、坑内サンプラ検層器では坑内の原位置でサンプリングすることで深度毎の組成を得ることができます。このため、例えば複数深度から坑井内に流体が流入している坑井(マルチフィード坑井)では、流体流入深度の前後の組成の違いの有無等の情報が得られ、それらの起源の解釈や貯留層モデルの構築に有用なデータを取得することができます。
当社で実施するPTSサンプラ検層は、PTS(圧力、温度、スピンナー)検層と坑内サンプリングを同時に行う検層手法です。取得したPTSデータから、フラッシュ開始深度の確認や、流体流出入深度・割合の推定などを行うことができます。
通常、坑内サンプラ検層では熱水単相でないとサンプリングできない場合もありますが、当社の坑内サンプラの特徴として、熱水単相、蒸気単相の他、坑内流動状態が二相流の場合でもサンプリングが可能です。採取したサンプルを分析することで、原位置の化学性状を再現することが可能です。流入流体の化学性状を調査することができます。地熱井に代表される高温高圧環境でも耐えうる設計となっており、噴気中の地熱生産井をはじめとして幅広く使用できます。また、ローラーセントラライザー等のオプションを装着することで高傾斜井への適用も可能となります。
項目 |
仕様 |
全長 |
4.1m |
外径 |
59.4mm |
重量 |
103kg |
耐圧 |
72.4MPa |
耐熱 |
300℃ |
サンプル採取量 |
500mL |
データ記録方式 |
メモリー |
高温・高圧用ボアホールビデオ検層
地熱井及び石油・ガス井の坑内でトラブルが発生した場合、従来の検層では目視確認が出来ないために具体的な要因・トラブル状況を把握出来ず、効果的な解決策を図れないという制約が多々ありました。そこで当社では、高温高圧用ボアホールビデオを導入し、今まで困難とされてきた地熱・石油・ガス井における高温・高圧下での目視測定を実現し様々な用途に活用しています。
項目 |
仕様 |
全長 |
4.2m |
外径 |
54.0mm |
重量 |
30kg |
耐圧 |
68.9MPa |
耐熱 |
204℃ |
データ記録方式 |
リアルタイム |
電気検層
電気検層とは、坑井近傍の岩石の比抵抗を深度に対して連続的に計測する検層手法です。カッティングス調査結果と対比することにより、キャップロック深度や断裂の深度など地熱貯留層の構造解釈、あるいは油・ガス層の評価などに役立つ物理量が得られます。当社の電気検層は、坑内に電気回路を必要としないノルマル法(2極法)を採用しており、高温の地熱井においても岩石の比抵抗ならびに自然電位 (SP) を測定することができます。
項目 |
仕様 |
外径 |
60 mm |
全長 |
1,624 mm |
耐熱 |
250℃ |
電極間隔 |
250 mm, 1000 mm |
キャピラリー・熱電対二重管方式モニタリング技術
地熱開発における坑井の噴出・還元試験に伴う坑井間の圧力干渉観測や、発電所運開後の長期的な貯留層管理の一環として坑内圧力温度観測が行われます。当社は、地熱・石油井等においてキャピラリー・熱電対二重管方式による長期坑内圧力温度モニタリング技術で多数の実績を有する米国PruettTech社の国内代理店です。同社の坑内圧力温度モニタリングシステムの概要をご紹介します。
観測装置は、地表装置である圧力変換器(データロガーに内蔵)、坑内装置である圧力チャンバーおよびキャピラリーチューブから構成されます。温度計測装置は、キャピラリーチューブ内に挿入されたタイプKの熱電対温度センサーとデータロガーに内蔵された温度変換器から構成されます。圧力チャンバーおよびキャピラリーチューブと熱電対センサーとの間には単相の不活性ガス(N2ガス等)が充填され、坑内水位の変動による圧力変動が不活性ガスを通じて地表の圧力変換器に伝えられる仕組みです。
本システムは、坑内装置に電子部品を使用していないため、耐熱性が高く、長期観測に適しているとともに、国内で多く採用されている実績があります。
項目 |
仕様 |
PT15-IDL |
Windows搭載OS |
圧力センサー |
ピエゾ抵抗型 |
計測範囲 |
34,473kPa (5,000psi) |
精度 |
±0.03%FS (±10.3kPa) |
分解能 |
0.0003%FS (0.10kPa) |
熱電対(温度計側) |
タイプK対応 |
データ記録数 |
100万データポイント |
サイズ |
H:191mm×W:140mm×D:114mm |
重量 |
1.85 kg |
接続 |
1/8″ HIPフィッティング |
電源 |
内蔵バッテリ駆動 |
データロガー
原位置センサー方式
地熱開発における坑井の噴出・還元試験に伴う坑井間の圧力干渉観測や、発電所運開後の長期的な貯留層管理の一環として坑内圧力温度観測が行われます。当社は、2002年より海外におけるEOR、貯留層管理、フラクチャリング等のモニタリング実績を有するカナダPROMORE社の坑内圧力温度センサーを用いた高分解能貯留層圧力・温度モニタリングシステムを導入しています。
本方式は圧力温度センサーを坑内に設置する方式であるため、原位置で圧力温度を正確に計測できる利点があります。従来、海外等で使用されていた坑内センサーの耐熱は175℃程度であったため、高温環境である地熱井への適用が困難でした。本センサーは、石油の蒸気圧入攻法用(SAGD)に開発された高温用センサーで、最高耐熱は315℃(坑内ケーブル最高耐熱300℃)であり、地熱井に適用可能です。また、地層内フラッシュ井や急激な圧力変化にも対応可能であり、保守性(ガスパージや保温対策は不要)にも優れています。
PROMORE社の事業は2019年にHalliburton社に譲渡されておりますが、引き続き当社が国内代理店として機器を提供しています。
地熱発電所の生産量減衰の要因の一つとして、地熱流体の生産に伴う坑井内のスケール生成・付着の問題が挙げられます。この問題は坑井内のみならず、地上設備等にも甚大な影響を与え、発電のための大きな障害となりかねません。また、開発地域における有望な坑井でスケールが発生する場合、問題は特に深刻化し、その対策として、リグによる定期的な浚い(リーミング)や酸処理等が実施されますが、その費用負担の割合は大きくなります。
当社が長年提供している坑内薬注設備(Chemical Transmission System)は、生産井でのスケール付着防止を目的に、生産中の坑内に薬液(インヒビター)を注入するための設備です。薬注設備は主に坑内設備(薬注管、薬注チャンバー)、坑口装置、地上設備(薬注用高圧ポンプ、薬液タンク)から構成されます。当社ではこの内、主に坑内設備および坑口装置の販売・設置および回収作業を行っています。本システムは、低コストで簡便に設置できるとともに、多数の国内実績を有しています。
項目 |
仕様 |
材質 |
INCOLOY825 |
破裂圧力 |
145 MPa |
圧潰圧力 |
85 MPa |
破断荷重 |
1,934 kg |
降伏荷重 |
796 kg |
外径 |
9.525 mm (0.375″) |
内径 |
7.036 mm (0.277″) |
薬注チャンバー
ポータブル型噴気試験装置(ジェームズ法)
米国Thermochem社製のポータブル噴気試験装置を使用した噴気試験サービスをご紹介します。同装置は、ジェームズ法(臨界流法)を採用した噴気試験装置であり、セパレータ等の圧力容器を使用せず、二相流出口圧力および大気解放後の熱水量を測定することにより、エンタルピーおよび蒸気・熱水流量を測定することが可能です。
- ジェームズ法
異なるエンタルピーを持つ蒸気・熱水の二相流は臨界状態で大気へ排出されます。この時、全流量およびエンタルピーは、適切な径を有するディスチャージパイプ(ジェームズチューブ)先端での測定圧力と相関関係を有し、このデータと二相流管内の差圧、もしくは大気解放後の熱水量を測定することにより、エンタルピーおよび蒸気・熱水流量を求める手法です。
- ポータブル噴気試験装置の特長
・大気解放型のユニットであり、第一種圧力容器に係る許認可が必要ありません。
・ユニット形式であり、複数坑井の測定時にも短時間で移動・設置が可能です。
・適切な径のジェームズチューブを選択することで、流量の大小に対しても精度良く二相流出口圧力を測定することが可能です。
・20ftコンテナを用いることで、低コストで簡便に設置できるとともに、多数の国内実績を有しています。
トレーサー式二相流量測定技術(TFT法)
トレーサー式二相流量測定技術(以下TFT法)は、蒸気生産中に各坑井の蒸気・熱水流量を測定する技術です。地熱発電所の設備構成によっては、いくつかの井戸を集合セパレータに集め、その合計流量を測定し管理している場合があるが、本技術を定期的に活用することで、地表設備に大きな改変を行うことなく、各坑井の蒸気・熱水流量の推移を把握することが可能になります。
測定は、蒸気用・熱水用トレーサーを一定流量で二相流に注入しながら、下流側に設置したミニセパレータを用いて蒸気ならびに熱水試料を採取します。これらの試料に含まれるトレーサー濃度を分析により求め、含まれるトレーサーの希釈率から、蒸気と熱水の流量を算出する方法です。
坑井試験解析サービス(WellTEST)
本解析サービスは、各種坑井圧力遷移試験(ビルドアップ、ドローダウン、フォールオフ、圧力干渉等)から取得される生産量(還元量)および坑内圧力データから、貯留層の特性、坑井産出(還元)能力、坑井刺激法(フラクチャリング、酸処理等)の効果など、坑井を含めたその周辺の貯留層の性状を定量的に評価するための解析技術です。 圧力遷移解析は、原理的には地熱・油・ガス層のような多孔質媒体における流体の流動方程式に、貯留層性状、坑井仕上げ状況などの諸条件を組み込んだ[流量-圧力(坑底/坑口)-時間]に関する理論式を用いて、生産(または圧入)によって生ずる圧力の経時変化の様子から、逆に目的とする貯留層の諸ファクター(浸透率、スキン・ファクターなど)を評価するものです。
当社が使用する坑井圧力遷移解析ソフト(WellTEST)は米国S&P Global社製で、生産量(還元量)と圧力変化との関係から片対数法、ホーナー法、カーブマッチング法、重ね合わせ法等により、透水量係数、浸透率・層厚積、スキンファクターなどのパラメータを評価することが可能です。
坑内流動シミュレータ(GFLOW)
坑内流動シミュレーションは、坑井内の流体挙動を解析し、主に生産井の坑内圧力及び温度等の噴気特性を求めるために実施されます。解析結果は噴気能力の予測、坑井特性の推定、フラッシュ開始深度の予測、坑径の推定(スケール付着等の可能性の検討)等に利用されます。これにより、効率的かつ経済的な地熱開発を可能とします。
地熱井の多くは気液二相流として生産されますが、気液二相流の流動形態は様々で、その違いによって圧力損失および気相・液相間の相対速度は大きく変化します。そのため、これまで多くの相関式(相対速度の算出方法)が開発され、坑内流動シミュレーションに利用されてきました。坑内流動シミュレータ“GFLOW”は、これまで開発され公開されてきた相関式から坑井特性に合うものを選択することで、精度よくシミュレーションを行えるよう当社で開発したシミュレータです。GFLOWでは8種類の相関式を取り扱っており、これ以外にもCO2およびNaClの同時取り扱いや超臨界領域での計算等の機能を追加しています。
項目 |
仕様 |
対応OS |
Windows搭載OS |
計算方向 |
①坑口→坑底、②坑底→坑口 |
解法 |
Newton-Raphson |
ケーシングプログラム設定数 |
最大50(坑井傾斜及びRoughness Factor含む) |
計算グリッド数 |
最大1000 |
設定可能フィードポイント数 |
最大100 |
選択可能な二相相関式 |
①Armand, ②Orkiszewski, ③Miller, ④Aziz, ⑤Hagedorn&Brown, ⑥Duns&Ros, ⑦Beggs&Brill, ⑧Ansari |
CO2, NaClの取扱い |
取扱い可能(~300℃) |
超臨界状態の取扱い |
取扱い可能(~500℃) |
Choked Flowの取扱い |
取扱い可能 |